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【2024年最新】マンション相場価格の推移から今後の市場を読み解く

不動産のプロがマンション相場価格の推移から今後の市場を読み解く

近年のマンション相場の推移を見ると、2013年頃から上昇を続けています。地域によって相場価格には差があり、推移が不安定な地域だと売り時の見極めが困難です。

この記事では、マンション相場価格の推移から今後の市場を予想するとともに、マンション売却で損をしないためのコツを紹介します。

目次

マンション相場価格の約15年間の推移

マンション相場価格の約15年間の推移

まずは、新型コロナウイルスの流行を含めた、ここ約15年間のマンション価格の推移を紹介します。国土交通省が公表している「不動産価格指数」によると、マンション価格は上昇傾向にあることが分かりました。

不動産価格指数とは、年間約30万件の不動産の取引価格情報をもとに動向を指数化したデータです。(※「2010年=100」とした基準をもとに不動産価格の動向を指数化したものなので、「万円」といった単位はありません)

2020年には新型コロナウイルスの流行、2021年には東京オリンピック閉幕があり、マンション価格の下落を予想する声も挙がりましたが、現在も上昇傾向を維持しています。

マンション価格

新型コロナウイルスは2019年末から日本で流行し、2023年5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に位置づけが変わったことで、ほぼ収束を迎える形となりました。

そこで、流行前の2019年から感染拡大禍にあった2021年までのマンション価格の推移を以下の表にまとめています。

2019年1月 2020年1月 2021年1月
マンション相場価格の推移 146.1 151.4 157.1

上の表からも、年間単位で見れば順調に相場価格が上昇していることが分かります。つまり、新型コロナウイルスの流行がマンション相場価格に与える影響はほとんどなかったといえるでしょう。

出典:国土交通省『不動産価格指数

エリア別のマンション価格推移

エリア別のマンション価格推移

ここでは、エリア別に2018年から2023年のマンション価格推移について、国土交通省のデータをもとに解説します。

出典:国土交通省『不動産価格指数

北海道地方のマンション価格推移

北海道地方のマンション価格推移は、以下のとおりです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
北海道地方 172.6 185.4 191.2 196.0 253.7 259.3

北海道地方のマンション価格相場は、他のエリアと比較しても上昇率が高くなっています。

令和5年12月28日に公表された最新資料では、関東地方の不動産価格指数が188.5であるのに対し、北海道地方の不動産価格指数は268.1と、首都圏よりも高いことが分かりました。

札幌駅周辺での新幹線延伸事業・再開発事業や、北広島市でのボールパーク開業に伴う再開発事業が主な要因として考えられます。

東北地方のマンション価格推移

東北地方のマンション価格推移は、以下のとおりです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
東北地方 178.3 189.1 189.1 216.6 224.1 232.4

東北地方のマンション価格相場は、緩やかに上昇しています。

東北地方の中心部である仙台市では、仙台駅や県庁所在地、東北大学のある青葉区を中心に、マンション需要が高まっています。

また、仙台市全域で商業・教育・医療・文化施設などを含めた再開発事業が進められているため、今後も需要は高まる見通しです。

関東地方のマンション価格推移

関東地方のマンション価格推移は、以下のとおりです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
関東地方 133.4 140.0 143.2 149.6 166.6 182.9

関東地方のマンション価格相場は、北海道地方や東北地方に比べると変動幅が小さいことが分かりました。

しかし、東京都のみを見ると新築・中古ともにマンション人気は高くなっています。

実際に東日本不動産流通機構が公表している「レインズデータライブラリー」を見ると、首都圏の中古マンションの平均㎡単価は74.82万円なのに対し、東京都は98.60万円と高い価格で売却されています。

売却の平均価格は首都圏が4,784万円、東京都が5,892万円です。変動幅は大きくありませんが、都内においては高値売却が狙えます。

また、千葉県の柏の葉キャンパスは都心まで30分という利便性を確保しながら、公・民・学の連携によるスマートシティが構想された街であり、新築・中古ともに資産価値の上昇に期待できるでしょう。

北陸地方のマンション価格推移

北陸地方のマンション価格推移は、以下のとおりです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
北陸地方 137.4 155.6 146.6 174.9 212.3 183.0

北陸地方のマンション価格相場は推移が不安定であり、中古マンションの売り時の見極めが難しくなっています。

ただし、金沢市は2015年の北陸新幹線の開業により都心からのアクセスが改善されたことで、新築・中古のマンション需要が増加しました。

2024年3月には金沢~敦賀の開業が決定されているため、さらに北陸地方の不動産価格が上昇すると考えられます。

中古マンションの売却を予定している方は、最適なタイミングで販売を始めるために、不動産会社に相談しながら進めましょう。

中部地方のマンション価格推移

中部地方のマンション価格推移は、以下のとおりです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
中部地方 142.4 152.4 155.6 164.4 173.3 189.7

中部地方のマンション価格相場は、緩やかに上昇しています。

中部地方の中心部である名古屋市では、マンション開発用地が少ないなかでマンション開発をしているため、地価が高くなっていることも価格相場を押し上げている要因となっています。

しかし、その他のエリアでは少子高齢化によって中古マンションの供給数が需要数を上回っています。今後はマンション相場の下落も予想されるため、中古マンションの売却時は不動産会社に相談しながらタイミングを見極めましょう。

近畿地方のマンション価格推移

近畿地方のマンション価格推移は、以下のとおりです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
近畿地方 141.4 150.1 162.5 165.2 180.4 190.6

近畿地方のマンション価格相場は、少しずつ上昇しています。

特に価格の上昇が著しいのは大阪府です。東日本不動産流通機構が公表している「レインズデータライブラリー」を見ると、2022年12月の平均売却価格が2,908万円であるのに対し、2023年12月には3,209万円と約300万円高くなっています。

大阪府は2025年に大坂万博を控えているため、商業施設やインフラなどの整備によって今後も相場は上昇すると考えられます。

また、2037年予定のリニア中央新幹線の大阪延伸が実現すると、今後10年以上にわたって不動産需要が増加するでしょう。

中国地方のマンション価格推移

中国地方のマンション価格推移は、以下のとおりです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
中国地方 137.5 184.2 180.0 182.9 190.0 208.7

中国地方のマンション価格相場は2023年に200台に達しており、関東地方や近畿地方に比べると変動幅が大きいことが分かります。

中心部である広島県は大型商業施設が存在する南区などでマンション需要が高まっています。

また、広島県の人口が増加傾向にあることや再開発事業の推進も、マンション価格を押し上げる要因の1つです。

四国地方のマンション価格推移

四国地方のマンション価格推移は、以下のとおりです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
四国地方 163.1 150.7 181.1 178.0 192.8 174.1

四国地方のマンション価格相場は、推移が不安定であることが分かります。

2022年の192.8から、2023年には174.1まで大きく下落しました。

主に、中古マンションの売却数が増えていることが価格の下落に関係していると考えられます。今後もマンション価格が下がり続けるかは不明ですが、売却を予定している方は推移のチェックが欠かせません。

九州・沖縄地方のマンション価格推移

九州・沖縄地方のマンション価格推移は、以下のとおりです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
九州・沖縄地方 168.1 188.1 196.8 201.1 219.8 224.6

九州・沖縄地方のマンション価格相場は、順調に上昇していることが分かります。

特に価格上昇が顕著なのは福岡県です。

東日本不動産流通機構が公表している「レインズデータライブラリー」によると、福岡県のマンション売却価格は、2022年12月の2,069万円から2023年12月には2,214万円と、約150万円上昇しています。

福岡県では雇用を生み出す施策として「天神ビッグバン」プロジェクトが推進されており、人口増加によって中古マンション価格が上がると予想されています。特に、福岡市や北九州市にあるマンションは高値売却が狙えるでしょう。

相場価格が高騰している理由

相場価格が高騰している理由

新築・中古マンション相場価格は、市場動向や経済事情などのさまざまな理由によって高騰しています。ここでは、マンション相場価格が高騰している理由を解説します。

建築費の上昇しているため

新築・中古のマンション相場価格が高騰している理由の1つに、建築費や人件費の上昇が挙げられます。

まず、2010年代後半から2021年にかけて東京オリンピックの関連施設の建設ラッシュによって、建築費が高騰していました。

2022年にはロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まり、世界各国からロシアに対して経済制裁が科されたことに不満を持ったロシアは、各国への建築資材となる木材や金属などの輸出を停止しました。

つまり、マンション建設に必要な建築費の上昇が、新築・中古マンション相場の高騰につながっているのです。

マイナス金利政策が維持されているため

日銀によって2016年にマイナス金利政策が導入されたため、住宅ローンの金利も下がりました。その結果、マンションを購入する方が増え、需要増加にともなってマンション価格が高騰しました。

その後2023年10月31日に行われた日銀の金利政策決定会合では、長期金利の変動許容幅を「1.0%を一定程度超えることを容認する」と発表しました。

それにより住宅ローンの返済に耐えられなくなった方がマンション売却をすることで、マンション相場が下がる可能性がありましたが、一般的に住宅ローンを借りている方の多くは比較的低金利な変動金利型を選択しています。

変動金利は日銀の短期金利に連動しており、安定的な2%の物価上昇を目指すと示している以上、直近で変動金利が上昇する可能性は高くありません。

つまり、今後もマンション価格は上昇を続けることが予想されますが、マイナス金利政策が終わる可能性もあるため、金利政策の動向をチェックしておくことが重要です。

円安が海外投資家の購入を後押ししているから

円安は、海外投資家が日本の不動産を購入する動きを後押しするため、マンション価格の高騰が続いています。

特に、資産価値の高い都心のマンションは円安によってお得に購入することが可能です。

マンション価格が上昇を続けると日本国民は購入が難しくなりますが、海外投資家への需要が衰えないかぎりは不動産価値も下がらず、今後も上昇することが予想されます。

テレワークの普及で需要が増えたから

新型コロナウイルスの流行をきっかけにテレワークが普及し、不動産需要が増加したこともマンション相場が高騰した理由の1つです。

自宅でテレワークを行うには仕事部屋を確保する必要があり、これまでの住まいでは手狭になるケースが増えました。

本格的にテレワークを実施するために新築・中古マンションを購入する方が増えたことで、マンション価格が高騰しています。

2024年のマンション相場価格はどうなる?

2024年のマンション相場価格はどうなる?

マンション相場価格が今度どのように推移するかは分かりませんが、2024年もマンション相場価格が急落する可能性は低いでしょう。

なぜなら、相場価格が高騰している理由でも述べたように、次の3つの背景が高止まりを維持する要素となるからです。

  • 建設費の上昇や人手不足、
  • 海外投資家によるマンション購入
  • マイナス金利政策の維持

ただし、人口の減少が著しいエリアではマンション相場価格が下落する可能性があります。

国立社会保障・人口問題研究所が発表している「日本の世帯数の将来推計」によると、日本の世帯数は2023年の5,418万世帯をピークに減少が予測されています。

世帯数が減少するとそれだけマンション需要も減るため、マンション相場価格の下落が起きる可能性も少なくありません。

不動産価格の高騰は続く見通しですが、いつ終了するかは分からないため、売却を検討している場合は2024年のうちに売っておくのが無難でしょう。

売却で損をしないコツ

売却で損をしないコツ

ここでは、マンション売却で損をしないコツを紹介します。売却タイミングが掴めない方はぜひ参考にしてみてください。

マンション価格相場の推移を把握する

マンション売却時には不動産会社に査定依頼をしますが、その前に価格相場の推移を把握しておきましょう。

インターネットで「マンション価格 推移」と検索すると、情報をチェックできます。

事前に推移を把握することで資金計画を立てやすくなり、不動産会社から提示された査定価格の妥当性も判断しやすくなるため、把握するのがおすすめです。

複数の不動産会社に査定依頼をする

査定は、必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。なぜなら、不動産会社によって査定価格は異なるため、1社だけでは妥当性が判断できないからです。

ただし、自社で媒介契約を結ぶために高い査定価格を提示する不動産会社も少なくありません。相場よりも高すぎる場合は、査定価格の根拠や営業担当者の人柄を確認することが大切です。

金利状況を確認する

中古マンションを購入する場合でも住宅ローンを利用する方が多いため、金利状況の確認は欠かせません。金利が高くなるほど買主の借入可能額が減るため、売却には不利になります。

先述したとおり、長期金利の変動許容幅は1.0%を一定程度超えることが容認されたため、マイナス金利がいつまで続くかは分かりません。

マンションを少しでも高く売却したい方は、最新の金利状況を確認しながら慎重に売却しましょう。

まとめ

まとめ

マンション相場価格は上昇を続けているため、2024年も同様の流れが続くと予想されます。

しかし、マイナス金利政策の終了や人口減少などのその他の要因によって、相場価格が下がっていく可能性も少なくありません。

中古マンションの売却を検討している方は、一度不動産会社に相談してみるといいでしょう。

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