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マンション売却で失敗しないための方法・対策を不動産のプロが解説

不動産のプロがマンション売却で失敗しないための方法・対策を解説

マンション売却は失敗しやすいため、事前に失敗事例や対策を知っておくことが重要です。少しの失敗で売れ残ったり、安く売ることになったりすることになるため、不安な方は多いでしょう。

この記事では、マンション売却の失敗事例や失敗しないための方法・対策を紹介します。

目次

マンション売却前のよくある失敗事例と対策

マンション売却前のよくある失敗事例と対策

マンション売却前は失敗を避けるためにも事前準備が重要です。ここでは、マンション売却前のよくある失敗事例と対策を5つ紹介します。

失敗①売却活動の時間に余裕がない

マンション売却をするにあたって十分な時間を確保していないと高値売却が難しく、売り急ぐあまり買主に安く買い叩かれる場合もあります。

マンション売却は本格的に始まってから3ヶ月以内に成約に至るとされ、査定依頼などの事前準備も含めると6ヶ月ほどかかるのが一般的です。これらを知らずに時間の余裕を持たないでいると、好条件で売れるチャンスを逃すなど失敗しかねません。

対策:売却スケジュールを把握し、必要書類を準備しておく

マンション売却では3~6ヶ月の期間がかかるため、最低でも6ヶ月前から売却活動に備えておく必要があります。

また、マンション売却の必要書類は複数あり、書類によっては平日にのみ取得可能なものや、交付に時間がかかるものもあり、余裕を持った行動が欠かせません。

紛失している書類がある場合は、再発行が可能なものであれば取り寄せたり、不動産会社に相談したりして対処することが重要です。

失敗②1社にしか査定依頼をしていない

マンション売却前は不動産会社に査定依頼をしますが、その際1社のみに依頼すると失敗しやすくなります。

なぜなら、1社に査定価格を算出してもらっても、その金額の妥当性が判断できないからです。

査定価格はあくまでも不動産会社が3ヶ月以内で成約に至るだろうと予想する価格であり、その価格で必ず売れると保証するものではありません。

自社で契約してもらうために高い査定価格を提示されている場合にも、1社だと気づきにくくなります。

対策:複数の不動産会社の査定を比較する

1社のみに査定依頼をすると相場を把握できないだけでなく、的外れな売出価格を設定して売れ残るリスクがあるため、必ず複数の不動産会社に査定依頼をして比較検討しましょう。

査定価格を比較することで相場を掴むことができ、営業担当者との相性を知ることも可能です。また、不動産会社によって得意な物件種別やエリアが異なります。

失敗③査定価格の高さしかみていない

複数の不動産会社からの査定結果を見て、単に査定価格が一番高い不動産会社に仲介を依頼するのは失敗しやすくなる原因です。

なぜなら、自社で媒介契約を結ぶためだけに高い査定価格を提示している恐れがあるからです。

仮に、相場よりも遙かに高い査定価格を提示してくれた不動産会社に仲介を依頼した場合、長期間売れ残ったあげく値下げを余儀なくされるかもしれません。

対策:査定価格の根拠を聞き、取引実績や評価・口コミなども確認する

「査定価格が高い」というだけで不動産会社を決めてしまうのは失敗する確率が上がるため、査定価格の根拠を聞き、取引実績や評価・口コミ、売却した方の体験ブログなども確認しましょう。

査定価格の根拠を聞く際のポイントは、類似物件の参考事例とその量です。マンション売却に自信のある不動産会社であれば実際に高値売却した事例を複数持っていると考えられます。

また、取引実績や評価・口コミなどは不動産会社のホームページや口コミサイトなどでチェックすることが可能です。

失敗④媒介契約が3種類あることを知らない

マンション売却を依頼する不動産会社と締ぶ媒介契約には、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類があります。

それぞれ不動産会社が負う義務や売主の制限が異なり、特に一般媒介契約を選ぶと売却活動の報告義務がないため、状況確認を売主側が行わなければなりません。

このように一般媒介契約では売却活動を不動産会社に丸投げする形となり、買主が見つからなかったり、売れ残ったりする恐れがあります。

対策:媒介契約の違いを把握する

媒介契約の種類を知らないと売却活動の状況すら把握が難しくなる場合もあるため、それぞれの条件を把握しておきましょう。

専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
同時に複数の不動産会社と契約 × ×
買主を自分で見つける ×
契約の有効期限 3ヶ月以内 3ヶ月以内 指定無し
レインズへの登録義務 5日以内に登録 7日以内に登録 任意
活動状況の報告義務 1週間に1回以上 2週間に1回以上 任意

失敗⑤住宅ローンの残高を把握していない

売却予定のマンションに住宅ローンが残っている場合、残高を確認せずに売却活動を進めると、オーバーローンになる恐れがあります。

オーバーローンとは売却価格よりも住宅ローン残高が上回る状態のことで、売却代金を充てても残ったローンを自己資金からカバーしなければなりません。

なぜなら、住宅ローンが完済できなければ抵当権を抹消できず、売却できなくなるからです。

自己資金でカバーできない場合は住み替えローンを申し込むケースもありますが、審査が厳しいため準備段階で金融機関に相談しておく必要があります。

対策:住宅ローンの残高を把握しておく

オーバーローンを防ぐためにも、金融機関から郵送される残高証明書やWebサイトから残高をあらかじめ確認しておきましょう。

残高証明書を紛失してしまった場合、金融機関に連絡して再発行を依頼することも可能です。

マンション売却中のよくある失敗事例と対策

マンション売却中のよくある失敗事例と対策

マンション売却中も失敗するリスクが複数存在します。ここでは、マンション売却中のよくある失敗事例と対策を4つ紹介します。

失敗①売出価格が相場より高すぎる

マンション売却において売主は少しでも高く売りたいと考えるものですが、相場より高すぎる売出価格に設定すると売れ残るリスクがあります。

売却期間が長引くほど買主が不審に思うだけでなく、不動産会社の熱量も下がりかねません。売却期間に余裕のある方ほど高い売出価格を設定して失敗してしまうため、気をつけましょう。

対策:相場よりも少し高めに価格設定をする

高すぎる売出価格によって失敗しないためにも、相場より1割程度高くするのがおすすめです。

マンション売却では買主から値引き交渉されることがほとんどのため、少し高めに設定しておくくらいだと売れやすくなります。

また、相場より1割程度高くするには、売主自身でも相場を把握しておかなければなりません。「土地総合情報システム」や「レインズマーケットインフォメーション」、「不動産ポータルサイト」などで相場を調べておきましょう。

失敗②マンションの売り出しタイミングを間違えてしまった

マンション売却は売り出しに適したタイミングがあります。タイミングを間違えると買主が見つかりにくくなったり、安く売却することになったりするため、見極めるポイントを押さえておきましょう。

対策:市場動向や築年数、季節などから見極める

マンション売却に適したタイミングは、市場動向や築年数、季節などから見極められます。

例えば、国土交通省が公表する「不動産価格指数」からマンションが高く売れやすい時期なのかを判断したり、進学や就職を控えマンション取引が活発になる2〜3月に売り出したりなどが挙げられます。

不動産会社と売却に適したタイミングを相談しながら、計画的にマンション売却を進めましょう。

失敗③内覧で好印象を与えられていない

マンション売却において内覧者にマイナスな印象を与えてしまうと、なかなか売れない場合があります。

室内の掃除や換気が行き届いておらず散らかっていると、生活感が出てしまうため、内覧者が購入を躊躇いかねません。

また、内覧者が質問をしても答えてもらえない場合、売主の誠意やマンションの魅力が伝わらず他の物件へ流れてしまいます。

対策:部屋の掃除や伝えるべきことをまとめておく

内覧者はキッチンや浴室、トイレなどの水回り、玄関などの汚れを気にしやすいため、これらの掃除を念入りに行いましょう。汚れが落ちにくい場合はハウスクリーニングを依頼するのも1つの手段です。

また、内覧者が質問したときに答えられるよう、あらかじめ不動産会社と相談しながら伝えるべきことをまとめておきましょう。

失敗④囲い込みに気づかない

一部の不動産会社は囲い込みを行うことがあるため、マンション売却で失敗しないためにも気をつけなければなりません。

囲い込みとは、依頼先の不動産会社が売主・買主の両方から仲介手数料を受領するために、他社が見つけた買主の購入を拒否する行為です。そうなると、売主のマンションが売れ残るリスクにつながります。

対策:他社から問い合わせてみる

囲い込みを避けるためには媒介契約時の内容をしっかりと確認し、独占的な取り決めがないかチェックしましょう。不動産会社に売却活動を丸投げしてしまうと、囲い込みをされていることに気づけません。

そのため、売却活動が始まったらレインズにマンション情報が登録されているかを確認することが重要です。

レインズは不動産会社しか閲覧できないため、契約していない不動産会社を通して問い合わせてみるのも1つの手段です。

マンション売却後のよくある失敗事例と対策

マンション売却後のよくある失敗事例と対策

マンション売却後は、買主が見つかっていても注意しなければならない項目が複数あります。ここでは、マンション売却後のよくある失敗事例と対策を4つ紹介します。

失敗①契約不適合責任を問われてしまう

マンション売却後は「契約不適合責任」を売主が負いますが、こちらに関するトラブルは多く、失敗しやすいので注意が必要です。契約不適合責任とは、売却したマンションに契約内容に記載のない欠陥や不備が見つかったとき、売主が修繕などを行う責任を指します。

例えば、エアコンが故障しているのにも関わらず売買契約書などに明記されていない場合、売主が修繕費や損害賠償請求を負うことになり、最悪契約解除される恐れもあります。

この契約不適合責任は、売主が把握していない欠陥・不備についても責任を問われますが、その場合は売主の負担が大きすぎるため、実務では売買契約書の特約で契約不適合責任の範囲を制限することが一般的です。

対策:対策を不動産会社と相談しておく

契約不適合責任を問われないように、事前に対策を不動産会社と相談しておくことが重要です。そのためには、欠陥や不備について隠すことなく不動産会社に伝え、トラブル防止に努めましょう。

マンションにおける欠陥の有無や修理のアドバイスを得られる「ホームインスペクション」を実施して証明書を発行しておくと、買主が安心できます。また、先述したように買主の合意が得られれば、契約不適合責任の範囲を制限することも可能です。

失敗②想像以上に税金や諸費用がかかってしまった

マンション売却で売却代金が丸々手元に残ると思って失敗するケースがありますが、税金や諸費用がかかることを忘れてはいけません。マンション売却にかかる税金や諸費用は以下のとおりです。

税金・諸費用 金額
仲介手数料 売却価格×3%+6万円+消費税
印紙税 契約金額が1,000万円超え5,000万円以下であれば1万円
登記費用(抵当権抹消費用・司法書士報酬) ・抵当権抹消費用:不動産1個につき1,000円・司法書士報酬:1~3万円
譲渡所得税 売却価格や所有期間、利用する特例による

対策:事前にシミュレーションしておく

「マンションを売却したのに手元にお金が残っていない」と失敗しないためにも、事前にシミュレーションをしておきましょう。仮にマンション売却価格が3,000万円だった場合にかかる税金と諸費用を計算します。

  • 仲介手数料:3,000万円×3%+6万円+消費税=105.60万円
  • 印紙税:1万円
  • 抵当権抹消費用:2,000円(建物1,000円、土地1,000円)
  • 司法書士報酬:3万円

上記の計算からマンションを3,000万円で売却したときにかかる税金・諸費用は、109万8,000円であることが分かります。仲介手数料は高額になりやすいため、気をつけましょう。 譲渡所得税については後述します。

失敗③確定申告が必要だと知らなかった

マンション売却で利益が発生した場合はその利益に対して譲渡所得税がかかり、納税の際は確定申告が必要です。

知らずに放置していると税務署からお尋ねが届き、無申告加算税のペナルティが生じる恐れがあります。

対策:譲渡所得税が発生するか確認する

マンション売却で譲渡所得税がかかるかどうかは、以下の計算式で確認できます。

<譲渡所得税の計算式>

  • 譲渡所得=売却価格ー(取得費+譲渡費用)
  • 譲渡所得税=譲渡所得×税率

※売却価格:マンション売却の価格

※取得費:マンション購入費用から減価償却費を控除した金額と仲介手数料や登記費用を足した金額(不明の場合は概算取得費を用いる)

※譲渡費用:マンション売却にかかった仲介手数料や印紙税などの金額

例えば、売却価格が5,000万円、取得費が4,700万円、譲渡費用が300万円の場合は5,000万円ー(4,700万円+300万円)=0円となり譲渡所得税はかからず、確定申告も必要ありません。

失敗④特例や控除を利用しなかった

マンション売却で譲渡所得税がかかる場合、特例や控除を利用すれば税金を抑えられますが、そのことを知らずに失敗するケースがあります。

例えば、売却価格が5,000万円、取得費が3,000万円、譲渡費用が500万円の場合、5,000万円ー(3,000万円+500万円)=1,500万円となり、1,500万円の譲渡所得が発生します。

そこから長期譲渡所得の税率である20.315%を掛けると、1,500万円×20.315%=304万7,250円の譲渡所得税がかかります。特例を利用できれば税金をゼロにすることも可能なため、事前に利用できる特例や控除を把握しておくことが重要です。

対策:利用できる特例や控除を把握しておく

マンション売却で利用できる特例や控除は、主に以下のとおりです。

  • 居住用財産の3,000万円特別控除

居住用財産の3,000万円特別控除は、マンション売却時に一定要件を満たすことで、譲渡所得から3,000万円まで控除できる制度です。

  • 軽減税率の特例

軽減税率の特例は所有期間が10年を超えている場合、6,000万円までの売却益に軽減税率として14.21%が適用できる制度です。

  • 居住用財産の買い換え特例

特定の居住用財産の買換えの特例は、売却益が生じても税金はかからず、住み替え先の物件を売却するまで先送りにできる制度です。

先ほど例に挙げた、売却価格が5,000万円、取得費が3,000万円、譲渡費用が500万円で、居住用財産の3,000万円特別控除を利用できる場合の計算式は、5,000万円ー(3,000万円+500万円)=1,500万円です。居住用財産が3,000万円の範囲内であることから「居住用財産の3,000万円特別控除」を適用すると、譲渡所得税はゼロになります。

マンション売却における不動産会社選びのコツ

マンション売却における不動産会社選びのコツ

マンション売却を成功させるために、不動産会社選びのコツを3つ紹介します。

不動産会社の口コミ・評判が良いか

不動産会社選びのコツ1つ目は、不動産会社の口コミ・評判です。

不動産会社を利用した方向けの口コミサイトや売却した方の体験ブログなどで確認できます。営業担当者の対応について記載のあるサイトをチェックしましょう。

不動産会社のサービスが充実しているか

不動産会社選びのコツ2つ目は、サービスが充実しているかどうかです。

不動産会社によってマンションの魅力を引き立たせるためのハウスクリーニングサービスや売却できなかった場合の買取保証サービスなどが存在します。

売主のニーズにあうサービスを用意している不動産会社を選びましょう。

地元の不動産情報に詳しいか

不動産会社選びのコツ3つ目は、地元の不動産情報に詳しいかどうかです。

不動産市場はエリアによって大きく異なり、特に田舎にあるマンションは一般的に売れにくいため、そのエリアの売却価格や周辺環境、市場動向などに詳しい不動産会社のほうが、より具体的な販売戦略を立てられるでしょう。

まとめ

まとめ

マンション売却は事前準備や売却活動中、売却後などさまざまな場面で失敗しやすいため、事前にどのような点で失敗しやすいのか、対策方法などを知っておくことが重要です。

また、失敗を最小限に抑えて納得のいく売却を行うためには、信頼できる不動産会社選びが欠かせません。査定価格の根拠や取引実績、評判なども確認して慎重に依頼しましょう。

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