「中古マンション売却をしたいが、なかなか買い手が見つからない」という状況に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
中古マンションは時に長期間売れないこともありますが、これにはいくつかの理由があります。売れない状態を放置しておくと、さまざまな影響が出てくるため対策を取らないといけません。
この記事では、マンション売却で売れない場合の影響や、売れない理由と対処方法を解説します。
中古マンション売却で長期間売れない場合、どう影響があるか?
マンション売却でなかなか売れない場合、放置しておくとさまざまな影響が出てきます。これらの影響を理解し、早期に対策を講じることが大切です。ここでは、中古マンションが長期間売れない場合、どう影響が出るのかを解説します。
管理費や修繕積立金の支払いが続く
マンション売却において売れない状態が続く場合、管理費や修繕積立金の支払いが続き、経済的な負担が増します。
管理費や修繕積立金はマンションの共用部分の維持・管理や大規模修繕に必要な費用を賄うためのものであり、区分所有者が負担し続けなければなりません。マンション売却が進まない場合、これらの費用は売主が引き続き支払い続けることになります。
例えば管理費が月々1万円、修繕積立金が月々5千円だとすると、1年間で約18万円もの費用がかかります。もしマンションが数年売れない状態にあると、その支出は大きな負担となります。さらに、長期間にわたって支払いを続けることで、他の支出と合わせて経済的な困難に繋がることも少なくありません。
経済的な負担を回避するためにも、できるだけ早くマンション売却を進めることが重要です。
固定資産税の負担が続く
中古マンションが売れない場合、固定資産税を払い続けなければなりません。
固定資産税は土地や建物といった不動産の所有者に対して毎年課される税金であり、マンション売却をして所有権が移転するまで、現在の所有者が支払う義務があります。したがって、マンション売却が進まない限り、固定資産税を毎年支払い続けなければなりません。
仮に固定資産税が年間10万円の場合、売却が1年以上進まなければその分の10万円×1年分が負担になります。複数年にわたり支払い続けることになると、その金額は無視できません。
不動産の価格が減少し続ける
マンション売却でなかなか売れない場合、時間が経過するにつれて市場での価値が下がり、価格が減少するリスクがあります。
不動産市場は需要と供給のバランスで価格が決まることが一般的です。売れない不動産が長期間市場に出ていると売れ残りの印象が強くなり、需要が低くなる可能性が高まります。
例えば、5年前に2,500万円で売り出していたマンションが長期間売れずに市場に残り続けた結果、2,200万円程度に価格が下落してしまうことがあります。価格が下がると最終的にマンション売却できても、当初予定していた金額よりも低い価格での売却となり、損失が出ることになります。
マンションが売れない場合の理由と対処方法5選
マンション売却でなかなか売れない場合、その理由は多岐にわたります。ここでは、マンション売却における売れない場合の理由と対処方法5選を解説します。
売れない理由1. 売出価格が相場より高すぎる
マンション売却で販売開始から3ヶ月経っても売れない場合、売出価格が市場相場より高すぎる可能性があります。買い手側もできるだけ安くて条件の良い不動産を求めているため、相場よりも高い場合は興味を持っても購入に踏み切れないことがほとんどです。
対処方法:相場が適正か見直す
中古マンションの売出価格が高すぎる場合、まずは市場の相場を確認しましょう。相場を無視して高額で設定してしまうと、同じエリアで売り出されている他の不動産と比較されて売れにくくなります。
相場の把握には「成約価格」を参考にするのがポイントです。成約価格とは実際に取引が成立した価格のことで、どの価格帯で売買が行われているかを理解するのに役立ちます。
自分で調べる方法としては、レインズ・マーケット・インフォメーションや不動産情報ポータルサイトなどが挙げられます。
売れない理由2. マンションの築年数が古い
マンション売却では築年数が古くなると設備の劣化やデザインの陳腐化が進むため、買い手にとって魅力が減少します。
特に、築年数が20年以上経過した不動産では、現代のライフスタイルに合わせた改修やリノベーションが求められることがほとんどです。
対処方法:インスペクションや瑕疵担保保険を活用する
築年数が古いマンションの売却を有利に進めるためには、インスペクション(建物診断)や瑕疵担保保険の活用がポイントです。
インスペクションとは建物の状態を専門家が調査して、必要な修繕や改善点を指摘するサービスです。また、瑕疵担保保険は不動産に不具合が見つかった際に保証する保険です。いずれも買い手に安心感を与えられるため、マンション売却をしやすくなる場合があります。
売れない理由3. 買い手への魅力的なアピールが不足している
中古マンション売却においてなかなか売れない場合、物件の魅力を十分に伝えられていない可能性があります。特に、オンラインでの物件情報や写真が購買意欲を引き出すような内容でなければ、買い手の興味が薄れてしまいます。
対処方法:売却実績が豊富な不動産会社を選ぶ
不動産の魅力を効果的にアピールするためには、売却実績が豊富な不動産会社を選ぶことがポイントです。
実績豊富な不動産会社は、不動産の長所を引き出す写真撮影や購買意欲をそそるキャッチフレーズの作成、チラシ投函など広範囲にわたる販売手法を活用します。
例えば、築年数が古いマンションでもリノベーションの可能性や周辺環境の魅力を強調することで、ポテンシャルが伝わりやすくなります。物件の特性に合った適切なアピールが行われれば買い手の興味を引き出すことができ、売却のスピードアップに繋がるでしょう。
売れない理由4. 内覧対応が雑になっている
買い手が内覧に訪れる際の対応が不十分だと中古マンションに対する印象が悪くなり、マンション売却がスムーズに進まない場合があります。特に、売主の態度が悪かったり部屋が清潔でなかったりすると、買い手の購買意欲が削がれかねません。
対処方法:ハウスクリーニングやホームステージングを検討する
内覧の際に好印象を与えるためには、ハウスクリーニングやホームステージングの導入が効果的です。
ハウスクリーニングは専門業者によって徹底的に清掃を行うサービスで、特に水回りや床の汚れ、壁のシミなどが綺麗に除去され、住まい全体が明るく見えます。
ホームステージングとは家具や小物を用いて部屋をモデルルームのように装飾することで、買い手が実際に住んでいるイメージを持ちやすくする方法です。例えば、家具の配置やインテリアのコーディネートにより、部屋の広さや雰囲気が際立つようになります。
内覧者が「ここに住んでみたい」と感じられる環境を整えることで、マンション売却の成功率が大きく向上します。
売れない理由5. 条件の良い競合物件が多い
マンション売却が進まない場合の原因として、近隣に同じ価格帯で条件の良い競合物件が売り出されていることが挙げられます。特に同じエリア内で新築マンションが多く販売されていると、築年数が経過したマンションは不利になりがちです。
対処方法:マンション売却のタイミングを見直す
マンション売却を成功させるためには、競合物件の状況を見ながら売り出すタイミングを調整することがポイントです。
例えば、競合物件が多くなると予測される時期(新築物件の竣工時期など)を避け、物件数が少ない時期に売り出すことで買い手の注目を集めやすくなります。
また、年末年始や年度の切り替えシーズン(3~4月)は引っ越し需要が増えるため、他の時期よりも売却が進みやすい傾向があります。タイミングを工夫することで競合物件と差別化し、マンション売却のチャンスを増やすことが可能です。
マンション売却で長期間売れ残るときはどうすべき?
離婚や転勤などでマンション売却を急ぎたい場合もあるでしょう。ここでは、マンション売却で長期間売れ残るときはどうするべきなのか、対処方法を解説します。
不動産買取の検討
不動産買取とは、不動産会社が直接物件を買い取る方法です。通常の仲介売却とは違って買い手を探すプロセスを省けるため、迅速なマンション売却が可能です。
ただし、一般的に買取価格は市場相場の6~8割程度と低めに設定されるため、売却価格が下がってしまいます。
買取価格が下がる理由は、買い取った不動産会社が再販売やリノベーションを行うため、そのコストを考慮して価格が設定されるからです。
早急に資金が必要な場合や売却活動が長期化している場合には、不動産買取を利用するのも一つの方法です。しかし、相場価格よりも低い金額での取引となるため、価格にこだわりがある場合には気をつけましょう。
まとめ
マンション売却において長期間売れない場合、経済的負担や物件価値の低下などさまざまなリスクが生じます。管理費や修繕積立金、固定資産税といった費用がかかり続けるうえ、売れ残り物件としての印象から価格が下がる可能性もあります。
価格見直しやインスペクション、不動産買取の検討など、この記事で解説した内容を参考に、マンション売却の成功率を高めていきましょう。