マンション売却は一生に一度の大きなイベントであり、成功すれば資産形成の大きなステップになります。
しかし、事前の準備や手続きを怠ると、予想外のトラブルや損失に繋がることがあります。
この記事では、マンション売却の際に注意すべきポイントや失敗事例、知っておきたい税金特例も紹介します。
マンション売却の成功を手にするために、重要な知識をしっかりと身につけておきましょう。
マンション売却の際の注意点
ここでは、以下のフェーズごとに具体的な注意点を解説していきます。
- マンション売却前の注意点
- マンション売却中の注意点
- マンション売却後の注意点
マンション売却前の注意点
マンション売却前の注意点は、「複数の不動産会社への査定依頼」や「費用の把握」です。
マンションに限らず、不動産の売却価格が市場相場から乖離していると購入希望者の興味を引くことが難しくなり、売れ残ってしまうリスクが高まります。
1つの不動産会社のみに査定依頼を行うと、提示された査定価格が妥当かどうかが判断できません。
そのため、事前に複数の不動産会社に査定を依頼し、売却するマンションの適正価格を把握しましょう。
さらに、マンション売却時にかかる「費用」にも注意が必要です。マンション売却には、不動産会社への仲介手数料や登記費用、場合によっては修繕費など、さまざまな費用がかかります。
不動産会社によって仲介手数料が異なることもあるため、査定価格だけでなく、総合的な費用も比較して選ぶことがポイントです。
マンション売却中の注意点
マンション売却中の注意点は、「内覧対応」や「契約不適合責任」です。
まず、内覧時には不動産をできるだけ良い状態で見せることが欠かせません。部屋の清掃や換気をしっかり行い、明るく快適な環境を整えましょう。これにより、買主に好印象を与え、売却交渉がスムーズに進む可能性が高まります。
次に、マンションの内装や設備に不具合がある場合、それを隠さずに正直に伝えることが大切です。例えば、売買契約書に記載されていない「エアコンの故障」などの問題がある場合、それを告知せずに取引を進めると、売却後に修理義務や契約解除のリスクが生じます。
これは「契約不適合責任」と呼ばれ、引き渡した不動産が契約内容に適合しないと認められた場合に売主が負う責任です。
さらに、購入希望者が内覧後に迅速に判断できるよう、手続きの流れや費用に関する情報をあらかじめ整理しておくことも効果的です。
マンション売却後の注意点
マンション売却後の注意点は、「確定申告漏れ」です。
マンションに限らず、不動産を売却して利益が生じた場合、その利益に対して譲渡所得税(所得税や住民税)が課されます。
マンション売却を行った翌年の2月16日から3月15日までの期間に確定申告で申告が義務づけられており、忘れると延滞税などのペナルティがかかるため注意が必要です。
譲渡所得税は不動産売却において高額になりやすい税金ですが、一定の条件を満たすと「3,000万円の特別控除」や「軽減税率の特例」などの税金特例を適用できるケースがあり、これにより税負担を軽減することが可能です。
例えば、長期間所有していた不動産を売却した場合、「居住用財産の3,000万円の特別控除」を活用することで、売却益が3,000万円まで非課税になります。
【損しない】マンション売却の失敗事例から見る注意点
マンション売却には多くの注意点があり、慎重に進めないと損をしてしまう可能性があります。ここでは、よくある失敗事例をもとに、マンション売却時の注意点を紹介します。
- 注意点①担当者との相性を見極めなかった
- 注意点②査定価格の高さのみで媒介契約を締結する不動産会社を決めた
- 注意点③マンションの売却価格で住宅ローン残債を返済できなかった
- 注意点④マンション売却後の確定申告を忘れてしまった
注意点①担当者との相性を見極めなかった
マンション売却を成功させるためには、不動産会社だけでなく「担当者との相性」も非常に重要です。
例えば、不動産会社の担当者が売却活動に対してあまり積極的でなかったり、報告が遅かったりすると、売却プロセスがスムーズに進まないことがあります。また、売主の要望や疑問にしっかりと対応してくれない担当者だと、安心して売買契約を任せることができず、最終的にストレスを感じるかもしれません。
担当者との相性を見極めるためには、初回の相談時にこちらの質問に対する反応や、これまでのマンション売却の実績について確認し、信頼できるかどうかを判断することが重要です。
担当者が信頼できるパートナーであれば、安心してマンションの売却活動を進められるでしょう。
注意点②査定価格の高さのみで媒介契約を締結する不動産会社を決めた
マンションを売却する際、多くの人が「査定価格」の高さを重視しがちです。
しかし、査定価格のみで不動産会社を決めてしまうと、後々問題が発生しやすくなります。不動産会社によっては、契約を取るために相場より高い査定価格を提示することがあり、その後、実際の売却時に大幅な値下げを余儀なくされるケースも少なくありません。
不動産会社から提示された査定価格だけで判断せず、担当者の対応や実績、仲介手数料などの費用面も考慮し、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
注意点③マンションの売却価格で住宅ローン残債を返済できなかった
マンション売却時のもう一つの注意点は、住宅ローンの残債と売却価格のバランスです。
売却するマンションの査定を受けた後、売却価格がローン残債を下回ると、ローンを全額返済できず、売却が困難になることがあります。
これを「オーバーローン」といい、思わぬ損失につながるリスクがあります。
特に、不動産市場の価格が下落している時期に売却を急ぐと、売却価格(査定価格)は低くなりがちです。査定を依頼する際には、住宅ローンの残債も十分に考慮し、無理のない計画を立てましょう。
注意点④マンション売却後の確定申告を忘れてしまった
マンション売却後に発生する重要な手続きのひとつが「確定申告」です。
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して譲渡所得税が課せられるため、確定申告をしなければなりません。
多くの人が、マンション売却の契約手続きに集中するあまり、売却後の確定申告を忘れてしまうことがあります。
売却益が出た場合にそのまま放置しておくと、後々税務署から連絡があり、ペナルティとして延滞税が発生することもあるため気をつけましょう。
税金特例について
ここでは、マンション売却において税負担を軽減できる税金特例について以下にまとめています。
以下の税金特例を適用する際は、確定申告を忘れないように注意してください。
居住用財産の3,000万円特別控除
マンション売却に伴う譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例です。この特例は、主にマイホームを売却した際に適用され、適用条件を満たすことで大きな税負担を軽減できます。
適用条件としては、売却する不動産が居住用であることや、一定期間内に再び適用を受けていないことなどが含まれます。
多くのケースで利用されるため、マイホーム売却を検討している方にとって有効な制度といえるでしょう。例えば、3,000万円を超える譲渡益がない場合、譲渡所得税が完全に免除されることもあります。
軽減税率の特例
10年以上所有していた不動産の譲渡所得に対して、通常より低い税率が適用される特例です。
通常の税率では譲渡所得に対して所得税や住民税が課せられますが、この特例を利用することで税率が軽減され、結果として売却益に対する税負担が大幅に減少します。
具体的には、所有期間が10年を超えた不動産に対し、通常の長期譲渡所得税率(20.315%)よりも低い税率(14.21%)が適用されるため、節税効果が非常に大きくなります。
長期所有の不動産を売却する際には、ぜひ検討したい特例です。
特定の居住用財産の買換えの特例
不動産売却後に、新しい住宅を購入した場合に適用される特例です。
この制度では、不動産売却によって発生した譲渡所得にかかる税金を、新たに購入する住宅に繰り延べることができ、税金の支払いを後回しにできます。
ただし、この特例には売却する不動産が居住用であることや、新たに購入する住宅が一定の条件を満たしていることなど、細かな要件が設けられています。
記事まとめ
マンション売却は大きな決断であり、成功させるためには事前の準備が欠かせません。
マンション売却時には、適正価格で売り出すためにも複数の不動産会社に査定依頼を行い、費用を把握することが重要です。
また、内覧対応や契約不適合責任にも注意し、確定申告の漏れを防ぐための手続きも忘れないようにしましょう。
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