マンションの売却を考える際、多くの方々が「住みながら売却できるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
実際、住みながらの売却にはさまざまなメリットとデメリットがあり、準備やコツを押さえることでスムーズに進められます。
ここでは、住みながらマンション売却を行う際のメリット・デメリット、成功のポイントについて解説していきます。
住みながらマンションを売却するメリット
住みながらのマンション売却には、引っ越し準備に余裕ができたり、売却資金を次の住まいに回せたりといったメリットが多くあります。
以下では、居住しながらマンション売却をする具体的なメリットを解説します。
売却資金を次の住まいの費用に充当できる
マンションの売却代金を新しい住まいの購入費や引っ越し費用に充当できる点は大きなメリットです。
住みながらマンション売却を進めるため、売却が完了するまでの間に次の住居の購入計画が立てられます。例えば、売却資金を頭金にして次の住宅ローンを組んだり、引っ越しに必要な費用に充てたりすることが可能です。
内覧者の反応や興味の対象がつかみやすい
内覧を通じて購入希望者の反応や興味を持つ点が把握しやすくなります。
住んでいる状態のままの内覧は売主の生活の様子がリアルに伝わるため、内覧者の興味や質問が具体的になります。例えば「収納が多く便利そう」、「日当たりがよく居心地が良い」など、内覧者の反応を得やすくなるのが特徴です。
住みながらの内覧は購入希望者の関心がどこにあるかを知りやすく、売却活動に役立てられます。
引っ越し準備のスケジュールに余裕が持てる
住みながらのマンション売却であれば「いつまでに売却を終わらせなければならない」という期日がないため、引っ越しに対する準備にゆとりを持てます。
売却完了までの間に新居を探すこともでき、慌てて引っ越しする必要がありません。例えば、家族の人数が多く荷物の整理が大変な場合でも、段階的に準備を進めることが可能です。
また、シーズンや費用を見ながら引っ越し業者を選べるので、無理なくスケジュールを組めます。住みながらマンション売却を進めることで、時間的な余裕を持った引っ越し準備が可能です。
生活のイメージが湧きやすい内覧が可能
部屋に家具や生活用品が配置された状態は、内覧者が自分の暮らしを思い浮かべる助けになります。
特にリビングやキッチンなど、家族の団らんの場面を想像しやすいと、内覧者が実際の暮らしをイメージしやすく、購買意欲が高まります。
住んでいる状態のままでの内覧は内覧者に住まいのイメージを具体化させ、マンション売却成功の後押しになるでしょう。
二重ローンのリスクを回避できる
新しい不動産の住宅ローンが発生する前に自宅の売却を終わらせることで、ローン返済の負担が二重になるリスクを避けやすくなります。
特に、先に新居を購入し、後から旧居を売却する「買い先行」の場合に起こりがちな問題です。
例えば、旧居のローン残高が1,000万円で新居購入に4,000万円のローンを組んだ場合、合計で5,000万円のローンを抱えることになります。このような状況では金利負担や月々の返済額が増え、生活費のやりくりが厳しくなってしまいます。
住みながらの売却は二重ローンのリスクを軽減し、スムーズに新居に移るための賢い方法です。
住みながらマンション売却をするデメリット
住みながらのマンション売却にはメリットも多いですが、同時にいくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットはスムーズなマンション売却を妨げる可能性があるため、事前に理解しておくことが重要です。
ここでは、居住中のマンション売却で直面する可能性のあるデメリットや注意点について解説します。
内覧のための日程調整が難しくなることがある
住みながらのマンション売却では、内覧のための日程調整が難しくなることがあります。
例えば、昼間に仕事がある場合や子どもが学校に通っている家庭では、平日の日中や夜間の内覧ができない場合があります。
この場合、内覧者が訪れる機会を逃し、内覧の数が減ってしまうことも考えられるでしょう。
また、急な予定変更や追加の内覧希望が入るとスケジュール調整がさらに難しくなり、売却のタイミングが遅れるリスクもあります。
生活感が印象を下げる恐れがある
部屋に生活感が残っていると、内覧者が不動産の魅力を十分に感じられないことがあります。
例えば、日常的に使用している家具や雑貨が散らかっている状態では、内覧者はその家の魅力を感じにくく、部屋の広さや間取りを正しく把握するのが困難です。
また、個人的な物が多く残っていると内覧者が「自分のスペース」として想像しにくく、不動産に対する興味が薄れてしまうこともあります。生活感を抑えるための工夫が、売却成功に重要です。
内覧前に部屋を整える手間がかかる
住みながらのマンション売却では、内覧前に部屋をきれいに整える手間がかかります。
内覧者にとって清潔で整った部屋は重要なポイントです。
毎日の片付けや掃除を徹底しないと、内覧者に「手入れが行き届いていない」、「管理が甘い」という印象を与えてしまいかねません。
リビングや寝室を常にきれいに保つことはもちろん、特にキッチンやバスルームなどの水回りの清潔さが求められます。汚れが目立つ部分や整理整頓されていない部分があると、内覧者は「この家はメンテナンスが不十分かもしれない」と感じる可能性があります。
居住中にマンション売却を成功させるコツ
住みながらマンション売却を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、スムーズなマンション売却のためのアドバイスを解説します。
複数の不動産会社に査定を依頼する
複数の不動産会社に査定を依頼することで、より良い売却価格を設定することができます。
一社だけに査定を依頼すると、その査定価格が妥当かどうかを判断できません。逆に、複数の不動産会社から査定を受けることで、市場価値や売却可能な価格帯についての幅広い見解を得ることができ、最適な売却価格を見極める手助けとなります。
例えば、ある不動産会社が「この地域の相場ではこの価格が妥当」と提案してきた場合、他の会社が「同じ地域でももう少し高い価格で売れる可能性がある」と査定することがあります。
複数の会社に依頼することで相場感をつかむことができ、売主にとって納得のいく価格設定が可能になるでしょう。
不具合などは正直に説明する
不動産に不具合があれば、正直に購入希望者に伝えることが信頼を築く鍵です。
例えば、エアコンの調子が悪かったり、トイレの水漏れがあったりする場合、事前にその点を伝えることで購入希望者が納得して購入を検討しやすくなります。もし後から問題が発覚した場合、購入希望者は不信感を抱き、購入を取りやめる可能性もあります。
さらに、マンション売却時に特に気をつけなければならないのが「契約不適合責任」の存在です。
もし、売買契約書に記載していない不具合が引き渡し後に見つかった場合、売主はその責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任って何?
契約不適合責任とは、売主が不具合があった箇所の補修や値引き、場合によっては契約解除や損害賠償請求を負わなければならないという法的責任です。
これを避けるためにも事前に住宅診断士による建物状況調査(インスペクション)を依頼し、不動産の不具合について十分に把握しておくことをおすすめします。
万が一、不具合があった場合は売買契約書にその状況をしっかりと記載し、購入者に説明することで双方が安心して契約を進められます。
不要なリフォームは控える
居住中のマンション売却ではリフォームや修繕にかかる時間と費用を考慮し、過度な投資を避けることが賢明です。大規模なリフォームを行うと売却準備が遅れるうえに、リフォーム費用を回収できない傾向にあります。
例えば壁紙が少し剥がれている部分があれば、その部分を簡単に修繕することは効果的です。しかし、全面的な壁紙の張り替えや大規模なキッチンリフォームなどは、費用が膨らんでしまい、引っ越しのタイミングも遅れる恐れがあります。
不要なリフォームを避け、不動産会社に提案されたときに検討しましょう。
売れない場合は買取を選択する
市場に出しても売れない場合は不動産会社による買取を選択することで、マンション売却を確実に進められます。
例えば、マンションの立地が良くても築年数が古い、あるいは内装に手を加えなければならない場合など、個別の問題によって購入希望者が見つからないことは少なくありません。
このような場合、不動産会社に直接売却することで面倒な交渉を避け、スムーズにマンション売却を進めることも一つの選択肢です。
ただし、市場相場の6~8割程度が買取相場のため、安くなってしまうことがデメリットといえます。
なかなか売れない場合や急ぎで売却したい場合、不動産に問題がある場合に買取を選択しましょう。
まとめ
住みながらマンション売却をする場合、引っ越し準備の余裕ができ、売却資金を次の住まいの費用に充当できるなどのメリットがあります。
しかし、内覧の調整が難しくなることや生活感が印象を下げる可能性もあるため、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。
住みながらのマンション売却を成功させるためには、計画的に準備を進めましょう。